ブレグジットとIPへの影響

ブレグジットとIPへの影響

EUを離脱した英国は今、2020年12月31日まで続く予定の移行期間にあります。この移行期間中、EUの商標と登録意匠出願は引き続き英国にも適用されます。いずれにせよ欧州特許はブレグジットの影響を受けません。

英国および欧州でクライアントを代表するMathys & Squireの能力は、ブレグジットによる影響を受けません (移行期間後でも同様です)。企業として、弊社は英国、ドイツ、ルクセンブルクおよびフランスに事業所を持つ欧州の事業であることに変わりはなく、これからも欧州全域でクライアントを代表していきます。

このページでは、ブレグジットが今後特許や商標、意匠権にどのような影響を及ぼすかについての誤った通説のいくつかを打破してみたいと思います。

欧州特許
  • 欧州特許制度はブレグジットによる影響を受けません。英国は現在そして今後も欧州特許条約 (EPC) の加盟国であり、EPCはEUとは無関係です。
  • EPCの加盟国であるもののEUの加盟国ではない国が、既に他にも多数存在します。
  • 英国籍の欧州特許弁理士は、離脱の移行期間後も欧州特許庁 (EPO) で代表することができます。
  • 特許に対する侵害は、これまでと同様に、国の裁判所で施行されます。
欧州連合商標 (EUTM) 登録
  • 英国を拠点とする企業は、今後もEUTMを申請し所有することができます。
  • 移行期間後は、新たなEUTMは英国には適用されなくなります。
  • 登録されたEUTMは英国に適用されなくなりますが、自動的に「クローニング」され、同等の英国の権利が作成されます。
  • 認可待ちのEUTMの出願案件についは、英国で出願し直し、同じ申請日を保持する選択肢が付与されます。これには費用がかかり、新規の申請は英国の審査プロセスを受ける必要があります。
  • 移行期間後に英国で新規の商標の保護を取得するには、別途英国商標登録が必要となります。
  • 英国のみにおける商標の使用は、EUTM登録を維持するのには不十分になります。
登録共同体意匠 (RCD)
  • 英国に拠点を置く企業は引き続きRCDを出願し所有することができます。
  • 移行期間後の新規のRCDは英国には適用されなくなります。
  • 既存のRCDは英国には適用されなく なりますが、自動的に「クローニング」され 同等の英国の権利が作成されます。
  • 移行期間後に英国で新規の意匠の保護を取得するには、別途英国意匠権が必要となります。
ハーグ国際意匠制度
  • ハーグ制度では、単一の国際出願を発端として意匠を複数の地域で登録することが可能です。
  • 英国は現在ハーグ協定に独自に加盟しているため、EU離脱の移行期間後も、英国の出願者は引き続きハーグ制度を利用できます。
未登録意匠
  • 移行期間の終了時に欧州未登録意匠権として保護されている意匠は、引き続き未登録継続意匠 (CUD) として英国において保護され、それはブレグジットの施行時に自動的に確立されます。
  • 新たな「EU同等」の英国補完的未登録意匠 (SUD) 権も、欧州未登録意匠権によって現在提供されている保護を反映するために導入されます。
訴訟

英国の裁判所は、英国で法的に有効であると認められた欧州特許 (および英国の権利に変換された登録済みの欧州の登録商標や意匠) を含む、英国の知的財産権に関し、引き続き管轄権を有します。


EUおよび英国出願パッケージ

ブレグジットに関する継続的な不確実性を考慮して、Mathys&Squireの商標および意匠チームは、EUおよび英国の商標および意匠権出願パッケージに対し、特別割引と固定料金を提供しています。

EUと英国の商標出願パッケージ

出願はEUと英国の両方を対象とする (単一クラス) 出願を割引・固定料金で提供します。この料金は、公式の異議や第三者の反対の場合を除く登録証明書の発行までのすべてのコストをカバーします。その後、追加のクラスの料金に割引が適用されます。

EUおよび英国の意匠出願パッケージ

EUと英国の両方をカバーする出願を、割引・固定料金でお届けします。この料金は、登録証明書の発行を含む、それまでのすべてのコストをカバーします。この固定料金は、弊社が出願準備が整った図面を受領することを前提とし、公式の異議にかかる費用は除外されます。出願に意匠が追加される場合も、それに割引が適用されます。

Mathys&Squireは、さまざまな国籍の人々を雇用していることを誇りにしており、その多くはEU圏内の国の出身者です。弊社では「英国離脱後のEU」(すなわち英外) に多数の拠点を確保するための措置を既に講じています。これにより、弊社は英国の商標や意匠だけでなく、EUの商標登録や登録共同体意匠の両方を扱える強力な基盤を確立することができました。また、弊社ではこれを実現するためにクライアントと共同で費用対効果の高い戦略を練ってきました。

当然ながら、ブレグジットによるIPに対する影響について弊社が最新情報を入手した際には、クライアントや連絡先にその内容をお伝えいたします。

当面、ご質問がある場合は通常のMathys & Squireアドバイザーにご連絡ください。このトピックに関するより詳細な情報をお求めの場合は、[email protected] にご連絡ください。